公認会計士と税理士の違い
公認会計士は、諸外国にも存在する制度です。一般的には、「監査と会計の専門家」と言われています。その一方、税理士となる資格を有し、税理士登録することにより税理士と称して税理士の独占業務である税務を行うこともできます。つまり、公認会計士は税理士試験を受験したり、税務署に一定期間勤務したりすることなく税理士になれるということです。
監査業務ですが、これは独立の第三者の立場から、投資家のために、企業が作成した財務諸表等(決算書とその作成プロセス)が会計基準に従って適正に表示されていることを証明するものです。公認会計士の仕事は、会社が作った書類について、正しいというお墨付きを与える仕事とも言えます。企業の代理人としての仕事を求められているわけではなく、企業から独立した第三者としての立場を求められているのです。 監査業務は、法廷監査と任意監査に分けることが出来ます。 法廷監査とは、法的に義務付けされている監査で、株式公開企業(金融商品取引法監査)と、資本金5億円以上あるいは負債総額200億円以上の大規模な株式会社(会社法監査)などがあります。 任意監査は、法定監査以外の企業や団体の会計監査です。税理士事務所に、時々「監査を実施します。」と書いてありますが、これは、税金対策(「正確な申告の確保」と「合法的な節税方法の選択」)のためのものであって、法定されているものではありませんし、決算書の適正性が証明されるものでもなく、公認会計士の監査とは異なるものです。この監査は、税理士が行うことも可能な監査です。ただし、税理士の「監査」は法的に強制されていませんので、あくまでも企業と税理士の合意がある場合にだけ行われます。また、税理士の監査を受けたからといって税務調査が省略されたりすることはありません。 会計業務に関しては、誰でも出来る業務ですが、財務書類の監査証明を行うことの前提として、会計についての高度な専門的能力を有していなければなりません。公認会計士は企業の監査証明の要否に関わらず公認会計士と称して会計業務を行い、決算書の作成や経理会計についてのアドバイスなども行います。 その他に、経営コンサルティング 業務もあります。これも誰でも行える自由業務ですが、公認会計士は、監査証明、会計業務、税務の各種業務の過程で蓄積した、会計を中心とした、あるいは会計から派生する経営ノウハウを提供します。 一方税理士は、わが国独自の制度です。「税金の専門家」と言われています。税理士は、公認会計士試験に合格しない限り公認会計士業務を行えません。公認会計士で税務を行う者の肩書きは「公認会計士・税理士」となります。当然ですが、税理士資格しか保有しない者の肩書きは「税理士」です。 税理士の独占業務である税務業務とは、企業の代理人としての立場から、企業のために税務申告書を税法に従って税理士が自ら作ることを言います。つまり税務書類の作成、税務代理、税務相談を独占業務とするとともに、会計業務として記帳代行や記帳指導を行っています。税理士はあくまで、企業の代理人としての立場でしかないのです。 税理士が監査業務を行うこともあります。しかしそれは、先ほどの公認会計士のところで述べた任意監査になります。 公認会計士と税理士、それぞれに関しては、公認会計士法、税理士法というものがあります。そこでは、使命、業務について、以下のように定められています。 《使 命》 公認会計士(公認会計士法第1条) 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。 税理士(税理士法第1条) 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。 《業 務》 公認会計士(公認会計士法第2条) 【1】公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。 【2】公認会計士は、前項に規定する業務の外、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。 ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。 税理士(税理士法第2条) 【1】税理士は、他人の求めに応じ、租税(中略)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。 一.税務代理(中略) 二.税務書類の作成(中略) 三.税務相談(中略) 【2】税理士は、前項に規定する業務(中略)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。 ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。 最後に、公認会計士と税理士の仕事を、具体的に簡単に挙げておきます。 《公認会計士の仕事》 監査証明業務 企業から学校法人、地方公共団体など幅広い対象について、財務情報の適正性につき意見を表明し、その信頼性を保証します。 監査証明業務には、法定監査と法定監査以外の監査があります。 ●法定監査とは、法律の規定によって義務付けられているものです。主なものは次のとおりです。 ・金融商品取引法に基づく監査 ・会社法に基づく監査 ・国や地方公共団体からの補助金を受けている学校法人の監査 ●法定監査以外の監査 会計業務 会計の専門家として、次のような業務があります。 ・財務書類の調製 ・企業再編に伴う税務処理及び財務調査 ・移転価格税制、連結納税制度などの指導・助言 ・海外現地法人、合弁会社設立を含む国際税務支援 ・その他税務相談、指導・助言、代理(法人税、所得税、事業税、住民税、相続税、贈与税、消費税など)、申告代理から税務官庁との交渉まで マネジメント・コンサルティング・サービス(MSC)業務 経営戦略の立案から組織再編、情報システムの構築など、経営全般にわたる指導・助言を行います。 事例としては、次のようなものがあります。 ・相談業務(会社の経営戦略、長期経営計画を通じたトップ・マネジメント・コンサルティング) ・実行支援業務(情報システム・生産管理システム等の開発と導入) ・組織再編などに関する指導、助言、財務調査 ・企業再生計画の策定、検証 ・環境会計の指導、環境情報等の保証業務 ・株価、知的財産等の評価 ・情報システムの開発・保守及び導入等の支援の開発 ・Trustサービス(WebTrust、SysTrustの、原則及び基準に基づく検証・助言) ・システム監査、システムリスク監査(システム及び内部統制の信頼性・安全性・効率性等の評価・検証) ・システムコンサルティング(情報システムの開発・保守、導入、運用、リスク管理等に関するコンサルティング) 《税理士の仕事》 税理士の仕事は、税理士業務と会計業務(付随業務)の大きく2つに分かれています。このうち「税理士業務」は税理士しかできない「独占業務」であり、税理士の資格がない人が行えば、たとえ無償でも税理士法に違反し罰せられます。このように「税理業務」は法律により守られています。 税理士業務 (1)税務書類の作成 確定申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類をあなたに代わって作成します。などを税理士自らの責任と判断において作成すること。 (2)税務代理 確定申告、青色申告の承認申請、税務署の更正・決定などに不服がある場合その申立て、税務調査の立会い、その他について代理します。 (3)税務相談 具体的事例に基づき、所得金額や税額の計算など、税金のことで困ったとき、わからないとき、知りたいとき,の相談に応じること。 会計業務(付随業務) (1)会計業務・コンサルティング業務 税務業務に付随する会計帳簿等の作成、財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務、さらには社会保険・財務分析や経営面のコンサルティング業務を行います。 (2)補佐人制度 税理士は、税務訴訟において納税者の正当な権利、利益の救済を援助するため、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに裁判所に出頭し、陳述(出廷陳述)します。 (3)外部監査 税理士は、社会公共の利益を守る外部監査人として、地方公共団体(都道府県や市町村)における税金の使途のチェック、また地方独立行政法人が企業会計原則に従って毎年公表する財務諸表論の監査を行います。